書の旅 in 福島いわき市〜震災の記憶を語り継ぐ美術館〜
【書で、人と笑顔をつなぐ旅in福島】
〜いわき市編part.2 (9/59市町村)〜
…part.1の続きから
旅2日目の最後に向かったのが、“いわき回廊美術館”
世界的有名な現代美術家の蔡国強さんと、オーナーの志賀さんを始め、
地元の方々が力を合わせて創り上げた美術館。
また、震災の記憶を語り継ぐことを目的としたボランティア企画
”いわき万本桜プロジェクト”を実施されており、
いわき市平中神谷の山に世界一の桜の名所を作ろうと活動していらっしゃいます。
美術館と聞くと屋内を想像しますが、この美術館は自然の中にある、屋外美術館!
万本桜プロジェクトにしろ、屋外美術館にしろ、
なんとも興味深く斬新なところに惹かれて行ってみました。
駐車場から美術館へは少し距離があり、
山の小道を進んでいくと、美術館にたどり着くまでに10問程の美術館クイズが次々と現れてきました。
入り口に着くまでの距離さえも楽しませてくれる、愉快なアイディア。 おもしろい!
美術館には特に受付や入場券などはなく、自由に出入りできる入り口になっていました。
なんだか、温もりある看板だなあ。
視界に入りきらないほど敷地が広く、野外に展示された作品は山の頂上まで続いていました。
ちなみにこの頂上まで連なる展示場は99mもあり、
”天に昇っていく龍”をイメージして造られたそう。
これまた斬新!
自然の中の野外ステージも完備されていました!
とってもお洒落!
鑑賞しながら進んでいくと、一人の男性が逆方向から歩いてきたので声をかけてみたら、
美術館オーナーの志賀さんにばったりお会いすることができました!
オーナーの志賀さんは汗を沢山かかれていて、直前まで草刈り作業を行っていたよう。
外の美術館ならでは。管理も大変そうだな…
志賀さんに、なぜこの場所に美術館を開いたのか、美術館やプロジェクトを通して将来に望んでいることなど、
色々なことを聞かせてくださいました。
展示作品には地元の小学生が描いた、桜プロジェクトに関する想い想いの絵が飾られていました。
時よりポケットからすだちを取り出し、暑さ対策のためにといって香りを嗅いでいて、
私も嗅がせていただくと……ビックリ!爽やかな香りで涼しさを感じられました。すごい!笑
「立ち話もなんなので、下で待っていますから鑑賞後ゆっくりお茶を飲んでってください」と仰っていただき、
また後ほどゆっくり聞かせて頂くことに。
山のてっぺんにたどり着くと、巨大な廃船のアートがお出迎え。
蔡國強さんといわき市民の方々が地元の海から掘り上げた、共同の作品です。
掘り上げた…どういうこと!?と思ってしまいますね。美術館の謎は深まるばかり…
そして頂上から眺められる田園風景が絶景!!!
…と、ホームページで見て気になっていたツリーブランコを発見!
木には、「決して安全なものではありません」と注意書きがあります。
真下は崖になっているので、事故も任意覚悟で乗ってみることに!
きーもーちーいーいーっ!!!\(^o^)/
子供の頃、実家の裏山でターザンをやっていたので、
眠っていたその時代の血が一瞬にして騒ぎ出しました。(笑)
普通のブランコと違って、爽快感が半端なかった!
遊びに来ていた男女お二人に声をかけると、いわき市民の方々で、
いわきのおすすめスポットや将来の夢など、色々なお話を聞かせていただきました!
ご親切にありがとうございました^^
そして美術館を下り、オーナーの志賀さんの元へ。
これまで味わったことのない茶葉のお茶でおもてなししてくださり、
先ほど伺った内容を更に深掘りしたお話を聞かせていただきました。
「最近はネットを見てブランコ目的で来る人が多いけど、
本当はそれを目的で来てほしい訳ではなく、ただ沢山の人に来てもらいたい訳でもなく、
この美術館の運営と万本桜プロジェクトの想いに賛同してくれる、
一人でも多くの人に参加・協力してほしい。」と話す志賀さん。
いわき万本桜プロジェクトは、
東日本大震災と原発事故の教訓を後世に伝えていこうと始まった企画で、
目標植樹本数は、中国で「永遠」を表す数字「99」にちなんで9万9千本。
達成には長い年月が掛かる上、たくさんの人の協力があって始めて実るものです。
震災があり原発事故があり、放射能の身体への影響、
永く使えない土地、近くに行きたくない地域というようなマイナスのイメージなど、
悪影響を未来の子供達に残してしまわないように、
世界中の人々が日本一の桜を観に来たくなるような場所を作りたい、という、
志賀さんの未来の子供達を想う気持ちからスタートされたそうです。
私も植樹の時期に合わせて参加しにいこうと思います。
今年は10月27日から行われるようなので、
みなさんも一人一本、ぜひ想いを込めた木を植樹しに行ってみてください。
木には、自分の名前をつけることもできるそうですよ。
沢山の身になるお話を聞かせていただいたお礼に、書をプレゼントさせていただきました。
まるで空と一体になっているような美術館から、「天空の美術館」と書かせていただきました!
書から、私の人柄まで見抜いてしまった志賀さん…
本当に凄い方です。
桜のプロジェクトや、斬新なアイディアなど、
たくさんの想いや願いが込められている美術館でした。
まだまだ知りたいことが多いので、後ほどまた個人的にお伺いします!
志賀さん、本当にありがとうございました!!
旅の3日目”楢葉町”の旅日記に続きます。
▶︎いわき万本桜プロジェクト
https://sites.google.com/view/mansaku99/?fbclid=IwAR0YlFkD5nCW8tDIXU4XsFe7jY_JDHbp27I8B_IBUvH6dvyUIM9LGcVEfUc
書家 根本みき